AGA(薄毛)にはさまざまな原因が考えられますが、食生活もそのうちの1つです。特に亜鉛は髪を作るために必要な成分で、亜鉛不足が原因で薄毛になってしまうケースもあります。

では亜鉛を積極的に摂ることで、AGAや薄毛の改善、発毛効果が期待できるのでしょうか。今回は亜鉛の摂取による効果やAGA治療薬フィナステリドと合わせた発毛効果、摂取の方法、注意点についてご紹介します。

亜鉛はどのような成分なのか

亜鉛は16種類の必須ミネラルのうちの1つで、身体に欠かせない成分です。亜鉛には主に新陳代謝の活性化や、皮膚や粘膜などの元となるたんぱく質の再合成を助ける働きがあります。

亜鉛は体内で生成できないため、体外から摂取しなければなりません。主に魚介類・肉類に多く含まれており、その中でも特に牡蠣やうなぎ、レバーなどに多いといわれています。身体に欠かせない成分ですが、体内への吸収率は30%程度です。食べ物によっては同時に摂取すると吸収率を上げたり、反対に吸収率が阻害されたりします。吸収率を改善する成分としては、ビタミンC・クエン酸などが挙げられます。

亜鉛とAGA(薄毛)の関係とは

「亜鉛はAGA治療に効果がある」と耳にしますが、結論からいうと亜鉛を摂取しただけではAGAの「根本的な改善」は難しく直接的な改善策とはなりません。ただし、亜鉛にはたんぱく質の再合成を助けるなどの働きがあり、育毛サイクルや発毛においてAGA(薄毛)と関わりがあります。

AGAに関わる主な亜鉛の働きは次の3つです。

AGA(薄毛)の進行を遅らせる


亜鉛はAGAの原因となる、還元酵素5αリダクターゼを抑える作用があります。還元酵素5αリダクターゼは、「ジヒドロテストステロン」という男性ホルモンの生成を助ける働きがあり、これがAGAを進行させてしまう原因です。

亜鉛を摂取することで、ジヒドロテストステロンの元となる5αリダクターゼの働きを抑制し、AGA進行の遅延に役立ちます。
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髪を作るケラチンの合成

髪の主成分はケラチンと呼ばれるたんぱく質でできています。このケラチンを合成するには、アミノ酸からたんぱく質に再合成する必要があり、このときに亜鉛が必須です。亜鉛は髪を作るケラチンの合成のために、必要不可欠な成分といえます。

育毛サイクルを正常にする

髪は育毛サイクルのなかで生え変わり、毛母細胞が分裂をおこなうことで発毛します。亜鉛は細胞分裂に欠かせない成分で、正常な育毛サイクルを保つために必要です。したがって、亜鉛が不足していると髪の成長期に毛母細胞がうまく分裂できず、育毛サイクルの乱れにつながります。

亜鉛以外でAGAに効果的なフィナステリドとは

フィナステリドは、AGAの治療に用いられる代表的な医薬品であるプロペシアの有効成分としてよく知られています。フィナステリドには、亜鉛と同じくAGAの原因となる5α-リダクターゼの働きを阻害する働きがあります。

5α-リダクターゼとは、人の体内にある酵素の1つです。「テストステロン」と呼ばれる男性ホルモンが、より強い男性ホルモン「ジヒドロテストステロン」に変わるとき、触媒として働く作用があります。

ジヒドロテストステロンは、アンドロゲンレセプターという男性ホルモン受容器と組み合わさることで、抜け毛のリスクファクターである「TGF-β」という有害なサイトカインを生み出します。

このTGF-βがヘアサイクルを乱すことによって、髪の毛の成長期が短縮され、髪の毛が成長しきらないうちに抜け落ちてしまうのです。そのような毛穴が増えることによって、徐々にAGAが進行してしまいます。

しかしフィナステリドによって5α-リダクターゼの働きが阻害されれば、抜け毛のリスクファクターであるTGF-βが産生されなくなるため、AGAの進行を食い止めることが可能となるのです。

抜け毛が減ることと、髪が増えることはイコールではなく、直接的な発毛効果は期待できません。しかしフィナステリドを主成分とするプロペシアを3年間継続して服用した場合、98%にAGAの改善が見られるというデータもあります。

なお、根本的な発毛効果を期待するのであれば、発毛を促進するミノキシジルという成分が効果的です。亜鉛だけでAGAの改善は難しいですが、フィナステリドの服用と合わせて積極的に摂取することで、発毛効果が期待できる可能性があります。
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フィナステリドと亜鉛は作用機序が異なる

フィナステリドと亜鉛の作用機序(治療効果が出る仕組み)には違いがあります。
フィナステリドはAGAの原因となる5α-リダクターゼの働きを阻害することで、抜け毛のリスクファクターであるTGF-βの産生を抑制します。

亜鉛は自然界に存在している必須ミネラルの一種で、細胞の新陳代謝にとって欠かすことのできない成分です。髪は毛母細胞が分裂することで成長するので、亜鉛の摂取量が不足すると、髪の成長に悪影響を及ぼすことになります。

ただしAGAを発症した場合の薄毛と、亜鉛が不足した場合に起こる薄毛では、その容体が異なります。AGAを発症した場合、頭頂部や前頭部から薄毛が進行しますが、亜鉛不足による薄毛の場合は、後頭部から薄毛の進行が多い傾向です。

このように薄毛はAGAだけでなく、円形脱毛症や皮膚炎による脱毛などさまざまあり、治療法はそれぞれ違います。亜鉛不足によって生じた薄毛の場合は、亜鉛の摂取は有効といえますが、AGAを発症した場合の薄毛には、亜鉛を摂取してもそれほど大きな効果がみられない可能性があります。同様の理由で、亜鉛不足による薄毛には、フィナステリドを摂取しても意味がありません。

亜鉛によって改善できるのは主に亜鉛不足による薄毛であり、AGAによる薄毛の場合は、あくまで補助的な役割であることを理解しておきましょう。

亜鉛が不足するとおこりうるリスク

厚生労働省が推奨する1日当たりの亜鉛の摂取量は、男性の場合で10mg、女性の場合で8mgとされています。妊婦さんはさらに亜鉛を2mg、授乳中の女性はさらに亜鉛を3mg追加で摂取する必要があります。

しかし2016年におこなわれた厚生労働省による「国民健康・栄養調査報告」によると、20代以降の男女ともに、必要量の亜鉛が摂取できていないとの報告もあります。亜鉛が不足するとおこりうるリスクは、脱毛や薄毛の原因となるだけではありません。口内や皮膚に炎症を起こしたり、味覚が麻痺したりすることもあります。子供の場合は健全な発育に悪影響を及ぼすこともあり、男性は生殖機能に影響がでるケースもあるようです。

そのため亜鉛が直接的にAGAを改善するものではないとしても、日々の食事から積極的に亜鉛を摂取する必要があるでしょう。

AGA治療に向けて亜鉛を摂取する方法

亜鉛を多く含む食品としては、前述したように豚のレバーや牛の肩ロース、牡蠣やうなぎなどがよく知られています。豚以外にも、牛や鶏のレバーは亜鉛を豊富に含んでいます。

レバーは亜鉛の他にも鉄分や葉酸、ビタミンAやビタミンB群が含まれているので、定期的に食べるとよいでしょう。

しかし、日々の食事から必要量の亜鉛を摂取することはなかなか難しいものです。さらに食べ合わせによっては、吸収率が下がってしまうこともあります。特に加工食品などに含まれる「リン酸塩」「ポリリン酸」「フィチン酸」「グルタミン酸ナトリウム」などは、亜鉛の吸収率を下げてしまうといわれています。

日々の食事からの摂取が難しい亜鉛は、サプリメントで効率よく摂ることもおすすめです。

亜鉛の摂り過ぎには注意

AGA治療と合わせて亜鉛を積極的に摂ることはよいことですが、摂り過ぎには注意してください。日常の食事から亜鉛を摂り過ぎてしまう可能性は少ないですが、亜鉛サプリメントなどで過剰摂取してしまうケースもあります。

亜鉛には銅の吸収を阻害する作用があり、過剰摂取によって銅欠乏症を引き起こす可能性があります。この銅欠乏症の症状のうち毛髪異常があり、抜け毛が増えてしまうことも考えられます。AGAの改善どころか逆効果となってしまうため、亜鉛サプリメントは量を考えて適切に利用しましょう。

亜鉛のほかにもAGA治療と合わせて摂取したい成分

タンパク質やビタミン、クエン酸を同時に摂取することで、亜鉛の吸収率が高められるといわれています。

髪の主成分であるタンパク質は、髪の発育に必要不可欠なもので、さらに亜鉛の吸収率を上げる効果があります。特に動物タンパク質を含んだ肉・魚を一緒に摂取することがおすすめです。ビタミンC、クエン酸も同じく亜鉛の吸収率をアップしてくれる成分です。ビタミンCやクエン酸は、柑橘系の果物や野菜に多く含まれています。

食事から亜鉛を摂取した場合、吸収率は30%程度にとどまりますが、合わせて食べる食品によって吸収率を上げられます。AGA治療中に亜鉛を効率的に摂りたい方は、食事の組み合わせも意識してみましょう。

AGA治療を支える湘南AGAクリニックのサプリメント

湘南AGAクリニックでは、亜鉛はもちろん髪に欠かせないビタミン・ミネラル・アミノ酸などを含んだ「タブレットV」というサプリメント(内服薬)を提供しています。市販のサプリメントと異なり、栄養素が髪に適切に届くよう特殊加工がされており、髪を太く強くする効果があります。

その他AGAの進行を抑えるフィナステリドを含んだ「タブレットF」、発毛促進効果のあるミノキシジルを含んだ「タブレットM」があります。効果の異なるこれらの内服薬を継続して取り入れることで、AGAが改善されます。
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まとめ

亜鉛にはAGA改善を助ける効果が期待できますが、亜鉛を摂取しただけではAGAの(薄毛)治療は難しいといえます。AGAに有効なフィナステリドと合わせて摂取することで、発毛効果を上げられる可能性もありますが、AGA治療においてあくまで補助的な役割であると理解しておきましょう。

亜鉛の摂取量は不足しがちな傾向にあり、吸収率も30%程度にとどまります。普段の食事から必要量を摂るのは難しいものです。亜鉛を多く含んだ食べ物を積極的に摂る、またはサプリメントをかしこく活用してみてください。
ただし、AGAを根本的に解決するにはクリニックにて診断してもらい、適切な治療を受けることが大切です。

湘南AGAクリニックでは、AGA治療専門の医師が全国に在籍しており、患者さまのお悩みに的確にお応えします。初診から無料のオンライン診療も可能です。薄毛にお悩みの方は、まずはお気軽に無料カウンセリングにてご相談ください。

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監修医情報

斎藤医師

湘南AGAクリニック
新宿本院院長 斎藤医師

経歴

  • 1994年三重大学医学部卒業
    同付属病院脳神経外科入局
  • 2001年大手美容外科勤務、院長職
  • 2009年湘南美容外科クリニック勤務
  • 2016年湘南AGAクリニック大阪院勤務
  • 2023年湘南AGAクリニック新宿本院勤務

運営者情報

運営クリニック 湘南AGAクリニック 新宿本院
住所 〒160-0023
東京都新宿区西新宿6丁目3番1号 新宿アイランドウイング7階
お問い合わせ 0120-548-911
院長 斎藤 浩一医師