AGA治療薬フィナステリド錠に対する耐性は本当にできるのか?

フィナステリド錠の服用を継続していると、効果を実感できなくなったり、治療効果が弱くなったと感じるケースがあります。そのため、フィナステリド錠に対する耐性ができたのではないかと疑われます。

フィナステリドに対する耐性ができるという噂は本当なのでしょうか。その噂と真実について、お答えします。

医薬品全般における耐性とは

まずはじめに、医薬品を継続して服用していると、耐性がつく場合があることは事実です。
例えば睡眠薬の場合、長期間にわたり服用を続けていると効き目が悪くなることがあります。その際、同じ効果を得るためには、服用量を徐々に増やす必要があるでしょう。

しかし、すべての医薬品で必ず耐性がつくわけではありません。
使用する医薬品やその量などにより、耐性の有無は異なるため医師への確認が必要となります。

フィナステリド錠に耐性があると断言することはできない

先ほど医薬品を継続して服用すると、耐性がつく可能性があることをご紹介しました。
それではAGA治療薬のフィナステリド錠についてはどうなのでしょう。

睡眠薬の例で挙げたとおり、フィナステリド錠の服用を継続していると、そのうちにフィナステリド錠の効果を実感できなくなったと感じる方がやはり一定数いらっしゃるようです。

しかし、フィナステリド錠に対する耐性ができる、という臨床成績の報告はありません。
この場合の耐性は「薬物耐性」のことを意味します。

たしかにフィナステリド錠を10年以上も服用している方のなかには、フィナステリド錠の効果がなくなったと感じている方もいるようです。ただその方は、フィナステリドの作用機序(効果を及ぼす仕組み)について理解していないといえるかもしれません。

フィナステリド錠の目的は髪の毛を生成させることではなく、活動を休止している毛根の働きを活発化させることにあります。そのため加齢によって毛根自体の持つ力が衰えると、フィナステリド錠の効果がなくなったと誤解してしまうのです。

つまり上記のような事象が発生するのは、フィナステリド錠の効果に対して薬剤耐性がついたというわけではありません。
あくまでも服用される方の加齢によって、毛根自体に髪の毛を生えさせる力が少なくなってきていることが原因であり、ほぼ加齢現象のひとつとみてよいでしょう。

AGA治療薬フィナステリド錠は服用期間によって効果に差が出る可能性がある


フィナステリド錠は、服用期間によって効果に差が出るといわれています。なぜなら男性型脱毛症には進行性という特徴があり、服用期間が長いほど高い発毛効果が期待できるからです。
その他進行性の観点から見ると、男性型脱毛症がある程度進行している段階で、フィナステリド錠の服用を開始した場合、効果を実感するまで通常よりも時間がかかってしまうでしょう。

反対に男性型脱毛症の初期段階で服用を開始した場合は、前者よりも早く効果が実感できる可能性があります。

服用期間が長いと高い発毛効果が期待できる

フィナステリド錠の服用期間が長くなると、それだけ男性型脱毛症の改善効果や現状維持効果も高くなります。仮にフィナステリド錠を3年間継続して服用した場合、78%の人に男性型脱毛症の改善効果が見られ、20%の人に現状維持効果が見られるそうです。

フィナステリド錠の推奨ランクはAランク

日本皮膚科学会の策定する「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」によると、フィナステリド錠の服用は男性型脱毛症の治療法として「おこなうよう強く勧める」Aランクにランキングされています。

また、フィナステリド錠を継続して服用した場合、98%から99%の人に男性型脱毛症の改善効果や現状維持効果が見られるという結果が得られています。なお、同様にAランクにランキングされているミノキシジルと併用することで、さらに高い発毛効果が期待できます。

フィナステリド錠の効果はAGAの進行度により異なる可能性がある

フィナステリド錠の効果は、AGAの進行度によって異なる場合があります。この進行度については指標として、ハミルトン・ノーウッド分類が一般的に用いられています。

ハミルトン・ノーウッド分類をイメージしやすいように表したものが、下記の通りです。自分がどのステージなのか確認してみましょう。

ステージⅠ AGAの自覚がない程度
ステージⅡ よく見るとAGAとわかる程度
ステージⅢ 他人から見てもはっきりとAGAとわかる程度
ステージⅣ かなり進行していて、頭部の地肌が見えている状態

ハミルトン・ノーウッド分類に関する詳しい情報はこちらからご覧いただけます。
自毛植毛とは(仕組みや効果について)|湘南AGAクリニックの薄毛治療・自毛植毛

ハミルトン・ノーウッド分類のステージが低い人のほうが、全般的にフィナステリド錠服用による治療効果が現れやすいとされています。これはステージが低い人のほうが毛母細胞が多く残っているため、フィナステリド錠の治療によく反応するからです。
ハミルトン・ノーウッド分類のステージが低い人のほうが、全般的にフィナステリド錠服用による治療効果が現れやすいとされています。これはステージが低い人のほうが毛母細胞が多く残っているため、フィナステリド錠の治療によく反応するからです。

反対に毛母細胞が減少している状況であり、なおかつステージが進行している状態であれば、フィナステリド錠の効果が得られづらいと感じることがあったり、あるいは実際に服用開始から効果の発現までの期間がやや長くなる可能性はあります。

また、ステージⅠ〜Ⅲに属する人はフィナステリド投与後5年経過しても、治療効果がかなり高いことがわかっています。

ステージV以上の人の治療効果のピークは以下のとおりです。

 ステージVの治療効果は4年後がピーク
 ステージⅥの治療効果は3年後がピーク
 ステージⅦの治療効果は2年後がピーク

各ステージと治療効果のピークから見てわかるように、AGA初期の場合は治療効果は高く、長く続きます。しかし、AGAのステージが進んでしまうと、すぐに治療効果のピークを迎え、フィナステリドを服用していても症状が進行してしまいます。
このことから、AGAは早期治療が大切であるといえます。

AGA治療薬を使用しているのに効果を感じづらい原因

前述のとおり、フィナステリド錠を服用することにより耐性ができるということは、医学的には証明されていません。しかし、フィナステリド錠の服用により耐性ができたと感じてしまう場合、薬の効果以外の部分で改善点がある可能性があります。

考えられる改善点について紹介していきます。

生活習慣が乱れている

飲酒や喫煙をしている場合、フィナステリド錠の効果を実感しにくくなる可能性があります。
AGAの主な原因は遺伝といわれています。しかし、過度な飲酒や喫煙をしていると、これらが要因で抜け毛のリスクが高まります。

それぞれ簡単になぜ抜け毛につながるのかについて解説します。

飲酒

飲酒をすることで体内にアルコールが入りますが、これを分解する際、体内で副産物的にアセトアルデヒドが生成されることになります。このアセトアルデヒドは人体にとって有害な成分であることから、体内で分解をすることになります。その際に使われるのが髪の毛を作る材料の一つであるシステインというアミノ酸の一種です。

つまり、本来であれば髪の毛を作る材料として使われるべきシステインが、アセトアルデヒドを分解するために使われているので、結果的に髪の毛の産生に影響を及ぼすことがあるのです。

喫煙

タバコのなかでも紙巻き・加熱式たばこ両方に含まれるニコチンという成分が、血管を収縮させる作用を持ちます。全体的に血管が収縮するということはそれだけ、頭皮や毛髪を育てる細胞に十分な栄養が行き渡らず結果的に抜け毛が発生したり、髪の毛を生産する力が衰えてしまうというわけです。

上記のような事情から飲酒喫煙とフィナステリド錠の服用を並行していると、結果的に、フィナステリド錠の効果を感じにくい可能性があるのです。

使用方法を間違えている

フィナステリド錠の使用方法を間違っている場合、効果を実感できない可能性があります。特にフィナステリド錠は服用する時間や回数が定められているためサプリメントと同じような感覚で服用すると、思ったような効果が得られません。あくまでもお薬であることを認識して、正しく使用することが重要なポイントとなります。

フィナステリド錠は24時間効果が継続するため、1日1錠服用することが基本となります。服用時間がバラバラだったり、飲み忘れがあると、フィナステリド錠が体内に存在しない時間が増え、効果を実感しにくくなります。

継続して使用していない

フィナステリド錠の効果をなかなか実感できない人に多く見られるのが、フィナステリド錠の服用を継続していないということです。

フィナステリド錠は作用機序からしてすぐに効果が現れるわけではありません。早くて3ヶ月、平均すると服用開始から6ヶ月程度で効果が現れ始めます。効果を実感するためには継続して服用することが重要といえます。

また、フィナステリド錠の服用を途中で辞めてしまう原因の1つとして、初期脱毛があります。初期脱毛はフィナステリド錠服用において正しい反応であり、むしろお薬が身体に作用をしていることの証左となる症状です。

しかし、これをご存じでない方からすればフィナステリド錠を服用したことでかえって髪の毛が抜けてしまったと感じるケースもあります。初期脱毛は服用最初期の段階から一時的に抜け毛の量が増えるため、慌てて服用を辞めてしまうケースが多くみられます。

これによって継続的なフィナステリド錠の服用ができず、結果としてフィナステリド錠の効果を実感できなくなるケースがあるため注意が必要です。
初期脱毛に関する詳しい情報はこちらからご覧いただけます。
AGA治療薬フィナステリドの副作用である初期脱毛とは?原因や服用時の注意点について

AGA治療薬フィナステリドの効果をさらに大きくする方法

では、フィナステリド錠の効果が感じられにくい場合はどうすればよいのでしょうか。
AGA治療の効果を高めるために、フィナステリド錠と併用できる治療方法や、フィナステリド錠に代わる治療薬について紹介いたします。

ミノキシジル

フィナステリド錠の効果を高める方法として、ミノキシジルの内服があげられます。
ミノキシジルは血流を促し、発毛を促進する効果がある成分です。そのため、フィナステリド錠でAGAの進行を抑制しながら、ミノキシジルで発毛を促すことで、より効果的にAGAの治療をおこなうことができます。

このようなことから、非常に多くの患者さまがフィナステリド錠とミノキシジルを併用しています。

デュタステリド

フィナステリド錠に代わる治療薬の成分として、あげられるのがデュタステリドです。デュタステリドはフィナステリド錠よりも、AGAの原因とされる5α-リダクターゼの働きを阻害する効果が高いといわれており、フィナステリド錠の1.6倍の発毛効果があるとされています。

また、フィナステリド錠の半減期が6時間から8時間であるのに対し、デュタステリドの半減期は3週間から5週間ともいわれています。つまり有効成分が体内にとどまる時間が長く、その分高い治療効果が期待できるのです。

デュタステリドに関する詳しい情報はこちらからご覧いただけます。
フィナステリドとデュタステリドには違いがある?

毛髪再生メソセラピー

毛髪再生メソセラピーは、AGA治療の効果を高めるのに効果的であり、注目されている治療法です。

メソセラピーとは、注射・レーザー・超音波など用いて治療部位に直接有効成分を注入する治療のことをいい、多くの治療に適応されています。
AGA治療における毛髪再生メソセラピーは、発毛育毛に必要な成分を直接頭皮に浸透させるため効果が高い治療法です。

メソセラピーを用いて発毛や育毛を促すことで、AGA治療薬のみの治療と比較して、より早期に改善を実感できます。

毛髪再生メソセラピーに関する詳しい情報はこちらからご覧いただけます。
AGA(薄毛)治療と合わせる毛髪再生メソセラピー|湘南AGAクリニックの薄毛治療・自毛植毛

まとめ

フィナステリド錠の長期服用により薬に対する耐性がつくということは、医学的根拠がないため断言できません。

ただし、フィナステリド錠の効果はAGAの進行度により異なります。ステージが低い人ほど得られる治療効果は高く、長く続きます。このことからAGAは早期治療が肝心です。

また、フィナステリド錠の効果を感じにくくなる原因として、生活習慣の乱れや服用方法など、薬以外の要因が影響していることが考えられます。そのため、これらの要因を取り除くことも治療において重要となるでしょう。

AGA治療の効果を高めるために、フィナステリド錠と併せられる治療法を取り入れるのもひとつの方法です。AGA治療のさまざまな方法を検討し、効果的に治療できるようにしましょう。

AGA治療の費用については下記ページでご紹介しています。ぜひご覧ください。
AGA治療の費用(料金・値段)一覧

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監修医情報

斎藤医師

湘南AGAクリニック
新宿本院院長 斎藤医師

経歴

  • 1994年三重大学医学部卒業
    同付属病院脳神経外科入局
  • 2001年大手美容外科勤務、院長職
  • 2009年湘南美容外科クリニック勤務
  • 2016年湘南AGAクリニック大阪院勤務
  • 2023年湘南AGAクリニック新宿本院勤務

運営者情報

運営クリニック 湘南AGAクリニック 新宿本院
住所 〒160-0023
東京都新宿区西新宿6丁目3番1号 新宿アイランドウイング7階
お問い合わせ 0120-548-911
院長 斎藤 浩一医師