AGA治療薬のフィナステリド(プロペシア®など)には「初期脱毛」と呼ばれる副作用がある

AGA治療で服用する有効成分フィナステリド(プロペシア®など)には「初期脱毛」と呼ばれる副作用があります。せっかく始めた治療なのに毛が抜ける…大丈夫なのでしょうか?

はじめは不安に思われるかもしれませんが、実は初期脱毛はプラスととらえるべき副作用なのです。詳しく解説していきます。

フィナステリドを利用したことで起こる初期脱毛とは、AGA治療でフィナステリドの服用を始めてから約2週間~1ヶ月程度経過したころにあらわれる副作用で、治療開始前よりも少し抜け毛が増えたように感じる場合があります。

初期脱毛は最初に経験すると大変驚くもので「薬が身体に合っていないのではないか?」などと考えられる方も多くいらっしゃいます。

しかしこれは、薬が効いている証拠のため問題ありません。

初期脱毛が起こる原因や薄毛のメカニズムなどについては次の章で解説しますが、まず概略でお伝えしたいことは「初期脱毛は悲観する副作用ではなく、症状が見られたときに治療をやめることはおすすめできない」ということです。

初期脱毛の時期を経過したあと、正しいAGA治療の成果が出てくるものと考えるようにしましょう。

初期脱毛が起きる原因とAGA・薄毛のメカニズム

AGA治療による初期脱毛をより理解するため、ここではまず、AGAのメカニズムについておさらいしましょう。

AGAのメカニズム

AGAが発症し、薄毛が起こっている場所は下図のようにヘアサイクルが乱れている状態です。
ヘアサイクルとは以下のように、髪の毛が成長し→成長が止まり→抜けるのを繰り返す一連の流れのことを言います。
これらのヘアサイクルには「成長期」「退行期」「休止期」という期間があります。

それぞれの髪の毛の状態は下記のとおりです。

成長期
新しい髪の毛が生えてきて成長している期間

退行期
髪の毛の成長が止まる期間

休止期
髪の毛の成長が止まり、抜けるのを待っている期間

※この休止期に毛根で新しい毛が生まれ始めます。
これが繰り返されることによって、髪の毛はどんどん生え替わっていくのです。
ヘアサイクル
このヘアサイクルにおいて、1番大切な成長期が大幅に短縮されてしまうと、髪の毛はひょろひょろと細くなり、まるで産毛のような状態になります。

通常のサイクルで生えてきている髪と比べると明らかに髪の毛の細くなり、産毛のようになります。また、見た目にも髪の毛が細くなることで頭皮が透けて見えるようになるケースもあるなど、状況を目で確認しやすいケースもあるでしょう。このような細く弱い髪は弱毛(じゃくもう)と呼ばれています。

AGAを発症している場合、成長期が極端に短くなるため、この弱毛だけが多くなり、通常であれば、成長期には太く長く成長するはずの髪の毛がしっかりと成長する前に抜けてしまう・・・という乱れたヘアサイクルを繰り返してしまうのです。

初期脱毛の原因

こうした状況を打破し、新しく正常なヘアサイクルに戻していくためにAGA治療のお薬が役に立ち、またその副作用として初期脱毛が起こります。

例えばAGA治療薬として知られている有効成分フィナステリド(プロペシア®など)を服用すると、その有効成分は毛母細胞にしっかりと働きかけます。

その結果毛母細胞が急激に活発化すると、休止期に入っていた髪の毛は通常より早く成長期に入っていきます。そのため、治療薬が効きはじめると、もともと生えていた古い髪の毛が、成長してきた新しい髪の毛に押し出されるようなかたちで抜けてしまうのです。

これが初期脱毛の原因となります。
初期脱毛の原因
AGA治療薬フィナステリドの詳細については下記をご覧ください。
プロペシア(フィナステリド)の効果と副作用|湘南AGAクリニックの薄毛治療・自毛植毛

AGA治療薬フィナステリドの初期脱毛は悲観する副作用ではない

ここまでご紹介したとおり、初期脱毛そのものは決して悪いものではなく、むしろAGA治療が一つ進み始めたことを表すバロメーターのようなものといえます。

効果が出ることで、一気に毛が抜けてしまうため、最初はどうしても驚いてしまうかもしれませんが、あまり気にすることはありません。また、初期脱毛で抜けていく髪の毛は、ヘアサイクルの乱れによって生まれた弱毛です。
弱毛が抜けたあとには、太くしっかりとした髪の毛が生えてくるため安心してください。
初期脱毛の期間は、正しいヘアサイクルを手に入れるための準備期間のようなものと認識しておきましょう。

初期脱毛が起こったということは「薬が効き始めた」という証拠で、決して悲観するべきことではなくむしろ喜ぶべきことといえます。

AGA治療におけるフィナステリドの服用効果には科学的根拠・実績がある

ここまで、フィナステリドの初期脱毛は悲観する副作用でないことをご共有しましたが、特に初めて取り組んでいる方からすれば「AGA治療において初期脱毛が起こることは通常の流れだから、心配はいりません」と聞いていてもやはり、実際に髪の毛が抜けているため、フィナステリドの服用効果に疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。

そこで、初期脱毛が悲観する副作用ではないことの裏付けとして、AGA治療におけるフィナステリドの服用効果には科学的根拠や実績があり、なおかつ日本皮膚科学会のガイドラインにおいてもフィナステリドによるAGA治療が推奨されていることがあげられます。

日本皮膚科学会が発表している「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」では、さまざまなAGA治療薬や治療方法がある中で、フィナステリドは最も評価の高いAランクに位置づけられています。
※AGAの治療法については推奨度を「A:おこなうよう強く勧める」「B:おこなうよう勧める」「C1:おこなってもよい」「C2:おこなわない方がよい」「D:おこなうべきではない」の5段階で評価しています。

その他フィナステリドを5年継続的に服用した男性の99.4%が発毛効果や現状維持の効果を実感しているといったデータも存在するため、基本的にはAGA治療においてフィナステリドは怖いものではありません。

初期脱毛が起こったときに考えるべきこと

初期脱毛が始まったと認識ができたら、抜け毛が増えたことを心配するのではなく、「次に生えてくる毛をいかに強くするか」を考えるべきです。
内服薬で身体の内側から改善していくのと同時に、育毛剤などの外用薬で、外側からもしっかり髪の毛を育てる環境を整えましょう。

髪の毛や頭皮によい成分の育毛剤を使用することによって、頭皮の状態を良くし、新しく生えてくる髪の毛がしっかり成長するためのサポートをおこなっていくことはとても大切なことなのです。

初期脱毛の副作用が起こるAGA治療薬と期間目安

飲み初めてから約1ヶ月~3ヶ月の期間は初期脱毛が起こるとされています。また、初期脱毛と見られる症状が出る治療薬は、有効成分にフィナステリド(プロペシア®など)が入っているものだけではありません。

血管拡張作用で頭皮の血行を良くし、毛根に栄養が行き渡るよう働きかける効果のあるミノキシジル(ミノキシジルタブレットなど)でも同じように初期脱毛の副作用はあります。

しかし、初期脱毛の期間は前述したように、正しいヘアサイクルを手に入れるための準備期間なので気にし過ぎることなく乗り切りましょう。

有効成分 製品名参考 効果
フィナステリド プロペシアHR(ヘアルネッサンス)タブレットA 5αリダクターゼ抑制効果によって、ジヒドロテストステロン(DHT)の生成を抑える効果
ミノキシジル ミノキシジルタブレットHR(ヘアルネッサンス)タブレットB 血管拡張作用で頭皮の血行を良くし、毛根を活性化させる効果

また、髪の毛がしっかりと成長するためのサポートとしてサプリメント類がありますが、サプリメントでは初期脱毛は見られません。あくまでも栄養素を補うものになります。

なお、ヘアサイクルには個人差があるため、初期脱毛の期間にも個人差があります。
継続する期間やその分量についても一律に決まってはおらず、人によって差があることは押さえておきたいポイントです。

初期脱毛がなかなか治まらないときの原因と対処法

AGA治療を始めて以降、一般的に初期脱毛は通常1~2ヶ月程度で治まってきますが、まれにこれ以上の期間継続してしまう場合もあります。

原因としては頭皮の状況、生活習慣の乱れ、そして「そもそも抜け毛の原因がAGAではない」といったものが考えられます。

ここでは、それぞれの原因と対処法について解説します。

生活習慣の乱れ

生活習慣の乱れは、最初に確認しておきたいポイントです。

一般に生活習慣の乱れ(睡眠不足や偏った食生活)は、頭皮環境を悪化させ、抜け毛が続く原因のひとつとされています。
この原因による抜け毛と、初期脱毛のタイミングが合致してしまうと「初期脱毛だと思っていたものが、実は生活習慣の乱れによる抜け毛だった」というケースも出てきてしまうことが考えられます。健康な髪を維持し、抜け毛を増やさないためには、バランスのよい食事と十分な睡眠、そして定期的な運動が必要です。

食事の面であればビタミンやミネラルが豊富な栄養価の高い食事(またはサプリメントの併用もよいでしょう)を摂りましょう。

また、睡眠についても見落としがちですが、重要です。睡眠不足は体内のリズムを乱し、ストレスホルモンのコルチゾールの濃度を高めることがあります。このストレスホルモンの増加は男性ホルモンにも影響するため、結果的に抜け毛の原因となります。

また、定期的な運動は、血行を良くし、ストレスを軽減するため、可能な限り取り入れておきたい要素です。

頭皮の炎症

頭皮の炎症によって、初期脱毛がなかなか治まらず抜け毛が止まらないケースも懸念されます。
特にデリケートな肌の方や敏感肌の方の場合「AGA治療薬」や「刺激性の強いシャンプー」によって頭皮の炎症が起こっている可能性があります。
こうした原因で頭皮に炎症が起きている場合は、少なくとも別のAGA治療薬に切り替えたり、あるいは使用するシャンプーを低刺激なものに変えることが必要です。

頭皮の炎症の程度がどういったものであれ、セルフケアで改善を図ることはあまりおすすめできません。状況によっては早めの対処が必要であったり、専門的な見地からアプローチが必要なケースも目立ちます。問題が改善されない場合は、一度担当医まで相談しましょう。

AGA以外の脱毛症・病気の可能性

「そもそも抜け毛の原因がAGAではない」といったケースもあります。この場合、まず専門医への相談が必要な状況といってよいでしょう。
初期脱毛が治まらない場合は、AGA以外の脱毛症の円形脱毛症、脂漏性(しろうせい)脱毛症、牽引性(けんいんせい)脱毛症など、またはまったく関係のない病気が脱毛を引き起こしている可能性があります。

円形脱毛症は自己免疫疾患の一つであるとする説が有力であり、その他アトピー素因や精神的なストレスによるもの、遺伝的な要素など、さまざまな要素が関係しています。

また脂漏性脱毛症は、頭皮が脂っぽくべたつきが見られ、結果的に頭皮環境が悪化することで脱毛に至るタイプの脱毛症です。過剰な皮脂分泌が原因となりますが、その要因はさまざまで医師への相談が重要です。

牽引性脱毛症は、髪(特に前髪)を何度も引っ張る(牽引する)ことで起こる脱毛の一種です。例えば毎日きつめにオールバックにしていたり、バンドなどを用いて前髪を後ろに引き上げているケース、あるいは長髪の方であればポニーテールなどで髪をまとめていると髪に負荷がかかり、結果的に牽引性脱毛症を引き起こすことがあります。

総合してこれらはAGAによる脱毛ではなく、別要因での脱毛ということになります。

AGA治療薬フィナステリドの他の副作用は?

データ上、フィナステリドによるAGA治療で副作用が起こる危険性は極めて低い水準です。しかし、初期脱毛の他に以下のような副作用が起こるケースもまれにあります。
・肝機能障害
・うつ症状
・性機能障害
ただし、副作用はフィナステリドに限ったことではなく、一般的に医薬品や「お薬」には多かれ少なかれ存在します。副作用についてはよく理解をし、服用することが必要です。

フィナステリドの副作用については下記ページにてご紹介しています。
あわせてご覧ください。
プロペシア(フィナステリド)の効果と副作用|湘南AGAクリニックの薄毛治療・自毛植毛

外用薬では初期脱毛などの副作用が起きにくい

同じ有効成分、フィナステリド・ミノキシジルでも外用薬では副作用が出にくいことがわかっています。内服薬のように身体の中から直接有効成分を取り入れるものではないので、副作用が出にくいと言われています。

しかし、それと同時に効き目もどうしてもゆるやかになってしまいます。そのため、すぐに目に見えるような効果を出せるものではありません。

外用薬だけでの治療は、長い時間をかけて改善していきたい人におすすめの治療方法といえず、あくまでも内服薬との相乗効果により高い効果を得られるモノと理解し、自分に合った治療法を選択していきましょう。

湘南AGAクリニックのフィナステリド・ミノキシジルをダブルで配合したAGA治療薬

内服薬なしで長期治療することをお望みの方は、発毛成分であるミノキシジルだけでは抜け毛自体を予防できません。
なぜなら、ミノキシジルは発毛を促進させるものであり、AGAの原因であるヘアサイクルの乱れを改善する効果があるものではないからです。

そもそも、AGA を引き起こすのはジヒドロテストステロン(DHT)です。
毛根内でジヒドロテストステロン(DHT)が生成されないように5αリダクターゼを抑制することによって、抜け毛自体を予防することができるのです。

そして、この5αリダクターゼを抑制することができるのがフィナステリドです。
ヘアサイクルの乱れを改善するためには、やはりフィナステリドの力は必要なのです。

湘南AGAクリニックでは、独自に開発した治療薬HR(ヘアルネッサンス)スプレーをおすすめしています。HR(ヘアルネッサンス)スプレーは、発毛を促進させるミノキシジルだけでなく、抜け毛を予防するフィナステリドをダブル配合している優秀な育毛剤です。

そのため、ミノキシジルしか入っていない育毛剤よりも、より高い効果を実感することができます。もちろん、内服薬と一緒に使用することで、その効果をさらに上げることができます。

まとめ

今回ご紹介したとおりAGA治療薬のフィナステリド服用による初期脱毛は、薬が効いている証拠であることを忘れてはいけません。服用後数週間で、効果が感じられないからと言って自己判断で服用を中止することは避けましょう。何か不安な点や疑問があれば担当医に直ぐに相談することがおすすめです。

AGA治療薬フィナステリドとは長期的に付き合う必要のあるからこそ、しっかりと効果・副作用について把握したうえで治療を進めましょう。

薄毛でお悩みの方へ湘南AGAクリニックのAGA治療・薄毛治療

監修医情報

斎藤医師

湘南AGAクリニック
新宿本院院長 斎藤医師

経歴

  • 1994年三重大学医学部卒業
    同付属病院脳神経外科入局
  • 2001年大手美容外科勤務、院長職
  • 2009年湘南美容外科クリニック勤務
  • 2016年湘南AGAクリニック大阪院勤務
  • 2023年湘南AGAクリニック新宿本院勤務

運営者情報

運営クリニック 湘南AGAクリニック 新宿本院
住所 〒160-0023
東京都新宿区西新宿6丁目3番1号 新宿アイランドウイング7階
お問い合わせ 0120-548-911
院長 斎藤 浩一医師