AGA治療としてまず検討されるのが、内服薬や外用薬です。AGA治療薬のなかでもミノキシジルの外用薬は、一般用医薬品として薬局でも購入できます。タブレットタイプの内服薬は、クリニックでの処方が必要です。
いずれもAGA改善効果が期待できますが、留意しておきたい副作用がいくつかあります。本記事ではミノキシジルについて、気になる効果や副作用、内服薬を利用する際に注意すべき点をご紹介します。
ミノキシジルとは?
ミノキシジルは、もともと高血圧治療薬として開発された薬剤です。臨床試験の過程で、ミノキシジルを服用していた患者に予期せぬ副作用として多毛が見られました。
この偶然の発見により、研究者たちはミノキシジルの発毛促進効果に注目し、脱毛症治療のために臨床開発されたのです。そのあと、ミノキシジル外用薬は、脱毛症の治療薬として世界中で広く使われるようになりました。
また、日本人を対象としたミノキシジルの臨床試験は、1987年に始まっています。第2相試験では、1%以上の濃度で70%を超える有効率が確認されました。さらに第3相比較試験においては、既存の発毛治療薬よりも発毛促進効果の高さが科学的に実証されています。
これらの結果が、のちの医薬品承認への根拠となりました。そのあと、さまざまな濃度の製剤が市販されるようになり、脱毛の程度や状態に応じて使用されています。
ミノキシジルの効果
ミノキシジルが効果を発揮するのは、主に血行促進や毛母細胞の活性化です。ここではそれぞれの特徴を解説します。
血行促進
ミノキシジルは毛細血管を拡張させる性質を持っており、塗布することで頭皮の血流が促進され、毛乳頭細胞へ多くの酸素や栄養素が行き届くようになります。髪の毛のヘアサイクルを活性化させ、健康的な発毛を促進する仕組みです。
しかし、血液中に十分な栄養素が含まれていなければ、血流が改善されても毛乳頭細胞に届く栄養素は限られます。そのため、ミノキシジルの効果を発揮するには、タンパク質やミネラルなどバランスの取れた食事の見直しも大切です。
毛母細胞活性化
髪は毛母細胞が分裂を繰り返すことで成長します。ミノキシジルは、毛母細胞を刺激して死滅するのを抑え、細胞分裂を活性化させる役割があります。これにより髪の成長が促され、脱毛を抑制して髪を太くします。
ミノキシジルの内服薬と外用薬
ミノキシジルは内服薬と外用薬の2種類が存在していますが、内服薬は国内では未承認です。しかし、アメリカ食品医薬品局(FDA)ではミノキシジルの内服薬が承認されており、高血圧の薬として使用されています。
ただし、日本の場合は処方する量や含有量によって頭痛や動悸、不整脈などの副作用の報告があることから、市販されているミノキシジルは外用薬のみです。
ミノキシジル外用薬は、医薬品として1999年に厚生労働省より認可され、販売開始されましたが、市販で購入できるのはミノキシジル成分の配合濃度が1〜5%までと決められており、それ以上では医療機関にて医師の処方が必要となります。
ミノキシジル外用薬の使用方法・詳細情報
ミノキシジルの外用薬は、患部に直接塗布するスプレータイプが一般的です。1日2回朝・夜の決まった時間に塗布します。合わせて頭皮マッサージをするとさらに効果的です。
使用方法 | 1日2回、患部に直接塗布1回につき5〜6プッシュ |
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効果 | 血行促進・毛母細胞活性化による発毛効果 |
効果が出るまでの期間 | 最短3〜4ヵ月 |
副作用 | 皮膚の炎症・赤み・かゆみ・初期脱毛など |
ミノキシジル外用薬のAGA治療症例

施術前
49歳男性ハミルトン・ノーウッド分類V

施術 4ヶ月後
外用のみでわずか4ヶ月でこの効果です
施術の説明:薄毛治療には、薬による治療、レーザーや注射で頭皮に薬剤を注入する治療、自分の毛を移植する自毛植毛などがあります。
施術の副作用(リスク):赤み、熱感、初期脱毛、切れ毛、抜け毛、施術範囲のざ瘡の悪化、コメド、毛嚢炎、膨隆、色素沈着、点状出血、内出血、腫脹、灼熱感、瘢痕が生じることがあります。
施術の価格:1,800円~1,890,000円
ミノキシジル内服薬の使用方法・詳細情報
ミノキシジルの内服薬は、体内に直接取り込むことで血中から作用するため、外用薬よりも効果が高いといわれています。しかし効果が高い分、副作用のリスクも少なからずあるといいます。詳しい副作用については後述します。
内服薬は国内では未承認ですが、検査をしたうえで医師の処方のもと使用が可能です。フィナステリドと異なり、女性が服用しても問題ない治療薬であるため、女性の薄毛(FAGA)の治療でも利用されています。
使用方法 | 用量・用法を守って1日1回服用 |
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効果 | 血行促進・毛母細胞活性化による発毛効果 |
効果がでるまでの期間 | 最短3〜4ヵ月 |
副作用 | 初期脱毛・息切れ・頭痛・たちくらみ・むくみ・多毛症・肝機能障害・心疾患 |
ミノキシジル内服薬のAGA(FAGA)治療症例

施術前
術前

施術 6ヶ月後
6カ月後
施術の説明:内服薬は体の内側からAGAの進行を止め、発毛しやすい環境に体を整え、外用薬で直接、毛根に発毛促進を働きかける治療方法です。
施術の副作用(リスク):内服開始から1~2ヶ月は初期脱毛が見られることがあります。また、発赤、痒み、発疹などお肌のトラブルなどが生じることがあります。
施術の価格:5,940円
施術の説明:内服薬は体の内側からAGAの進行を止め、発毛しやすい環境に体を整え、外用薬で直接、毛根に発毛促進を働きかける治療方法です。
施術の副作用(リスク):内服開始から1~2ヶ月は初期脱毛が見られることがあります。また、発赤、痒み、発疹などお肌のトラブルなどが生じることがあります。
施術の価格:4,990円~50,720円
ミノキシジルの主な副作用

ミノキシジルは、外用薬と内服薬とで副作用が異なります。患部に直接つける外用薬は、皮膚トラブルなどが主な副作用です。内服薬の場合は、体内に取り込むため、動悸やめまいなどの副作用が現れることがあります。ただし、いずれも副作用の発生率は個人差があり、比較的低いといわれています。
ミノキシジルを利用する際に留意しておきたい、主な副作用をご紹介します。
皮膚の炎症(外用薬)
皮膚の炎症は、外用薬を使用した場合に見られる副作用です。頭皮に炎症・赤み・かゆみなどが生じる場合があります。頻繁に起こる副作用ではありませんが、肌に異常を感じたらまずは医師に相談して、場合によっては別の治療法を検討しましょう。
初期脱毛
初期脱毛は、AGA治療開始の初期に抜け毛が増加する現象です。一時的な抜け毛であり、ミノキシジルに限った副作用ではありません。古い毛髪が抜け落ちて、新しく生え変わるための一時的な脱毛症状であるため、治療を中断せずに継続することが大切です。
赤ら顔
ミノキシジルの血管拡張作用により、顔の毛細血管が拡張して皮膚表面に透けて見え、顔が赤くなる可能性があります。
赤ら顔は、血流が促進されることで顔が赤みを帯びる状態ですが、見た目の変化だけで健康上の問題や身体の異変ではありません。このような外見的な変化は、ミノキシジルの血管作用のメカニズムから生じる反応です。
息切れ・頭痛・立ちくらみ
ミノキシジルを使うと、心臓が過剰に血液を取り込もうとする作用が働き、息切れ・頭痛・めまい・立ちくらみを引き起こす場合があります。特に高血圧・低血圧・心疾患のある方は、要注意です。ごくまれに心疾患が悪化する場合もあります。
顔や足のむくみ
血管拡張効果によって、血液量が過剰になり一時的に顔や足のむくみなど、循環器系の症状が出ることがあります。あくまで一時的な副作用で、経過とともに改善することがほとんどです。
万が一、症状が改善しないなどの異常を感じたら、服用を中断して速やかに医療機関を受診しましょう。ごくまれに心機能が低下することで、むくみが生じるケースがあります。
体毛の増加
体内に取り込む内服薬は、頭皮だけでなく全身に成分が巡るため、体毛が濃くなる場合があります。効果が出ている証拠でもありますが、気になる方は別の治療法を検討したほうがよいかもしれません。
肝機能障害
体内に取り込んだミノキシジルの成分は、肝臓で代謝されます。肝臓に負荷がかかる場合があり、ごくまれに肝機能障害を起こすといった発症リスクがあります。重篤な副作用ではありますが発生頻度は極めて少なく、またミノキシジルに限った副作用ではありません。過度な心配は不要ですが、肝機能障害等の既往歴があれば、必ず医師に伝えてください。
心疾患
ミノキシジルは血管拡張作用を持つ薬剤ですが、まれに細動脈と冠動脈に思わぬ影響を与える可能性があります。通常、冠動脈と呼ばれる太い血管は、収縮と拡張によって心臓への血液の供給量をコントロールしています。
しかし、ミノキシジルが冠動脈を弛緩させることで、心臓への血液供給が一時的に減少し、冠動脈疾患の症状を引き起こしてしまうかもしれません。
また、重症化すると狭心症の症状が現れることもあります。ただし、ミノキシジルのみの影響で心臓への血流が完全に遮断されることは考えにくいため、薬剤単独で重篤な心筋梗塞に至るケースはきわめて少ないといえるでしょう。
なお、心筋梗塞や心不全などの他の重篤な心疾患に関する報告はありますが、これらとミノキシジル治療との因果関係は、現時点で明確にされていません。
ミノキシジル内服薬を使用する際の注意点
内服薬が国内で未承認なのは、副作用に対する懸念が1つの理由だといえます。
しかし外用薬よりも薬物活性が高く、よりAGA改善効果が期待できる治療薬でもあるため、クリニックで処方されることが多々あります。使用に際しては用量用法を正しく守るとともに、次の注意点を押さえておきましょう。
必ずクリニックで処方してもらう
ミノキシジルの内服薬は、日本国内では市販されていないため、個人輸入で入手している方も見受けられます。しかし、通販サイトで取り扱っているミノキシジルは、偽造品である可能性が高く、品質や安全性が保証されておらず非常に危険です。
また、副作用が生じた場合でも「医薬品副作用救済制度」の保護対象外となるため、健康被害が発生しても補償を受けられません。
このような理由から、ミノキシジルの使用を検討する際は、信頼できる医療機関での受診を推奨します。専門医による適切な検査を受け、使用の可否や正しい用量を判断してもらうことが重要です。
高血圧・低血圧・狭心症の方は使用可否を相談する
ミノキシジルはもともと血圧降下剤として使用されてきました。そのため、血圧が不安定な方、心疾患をお持ちの方などは、重い副作用が生じるリスクがあります。必ず医師に相談し、使用の可否判断に従いましょう。
妊活中・妊娠中の女性の服用はしない
ミノキシジルは男女ともに服用できる内服薬ですが、妊活中・妊娠中の女性は服用は控えた方がよいとされています。特に妊娠中は胎児に悪影響を及ぼす恐れがあるといわれています。いつ妊娠するかわからない妊活中も、ミノキシジルの内服は控えることが望ましいでしょう。
湘南AGAクリニックの内服薬タブレットM
有効成分のミノキシジルを主成分とする「タブレットM」は、頭皮の血行改善を通じて発毛促進を助ける内服薬です。特に生活習慣や食生活の乱れにより頭皮環境が悪化している男性におすすめです。
タブレットMを服用することで頭皮の血行を促し、毛細血管から毛乳頭へ必要な栄養素を届けてくれます。これにより、健康的で太い髪の毛の成長が促され、頭皮が透けて見えるという悩みの改善が期待できます。
外用薬としてのミノキシジルも効果的ですが、内服薬として摂取することで体内から直接作用し、広範囲にわたって頭皮全体の血行を改善できるのがメリットです。
ミノキシジルとフィナステリド・デュタステリドとの併用

AGA治療に用いられる治療薬は、ミノキシジルの他にフィナステリドとデュタステリドがあります。これらの治療薬は得られる効果やメカニズムが異なり、併用することで発毛効果が高くなることが期待できます。
併用する際は、クリニックでカウンセリングを受け、適切に処方してもらうことが大切です。
ミノキシジル・フィナステリド・デュタステリドの特徴を以下にまとめました。
成分名 | ミノキシジル | フィナステリド(プロペシア) | デュタステリド(ザガーロ) |
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使用方法 | 1日1回服用または患部に直接塗布 | 1日1回服用 | 1日1回服用 |
効果 | 血行促進・毛母細胞活性化による発毛効果 | 5α-リダクターゼⅡ型の抑制・ヘアサイクルの正常化 | 5α-リダクターゼⅠ型とⅡ型の抑制・ヘアサイクルの正常化 |
効果を実感するまでの期間 | 最短で3〜4ヵ月 | 最短で2〜3ヵ月 | 最短で2〜3ヵ月 |
副作用 | 初期脱毛・皮膚炎・動悸や息切れ・頭痛やめまい・むくみ・多毛症・肝機能障害・心疾患 | 初期脱毛・性欲減退・勃起機能障害(ED)・肝機能障害・うつ・精子減少 | 初期脱毛・性欲減退・勃起機能障害(ED)・肝機能障害・うつ・精子減少・乳房障害・蕁麻疹 |
フィナステリド(プロペシア)の効果
フィナステリドは、日本国内で承認されているAGA(男性型脱毛症)治療薬で、5α-リダクターゼⅡ型という酵素の働きを抑制する作用があります。この酵素は、テストステロンを脱毛の原因となるジヒドロテストステロン(DHT)に変換します。フィナステリドがこの変換を阻害することで、DHTの産生が減少し、AGAの進行を抑制することが可能です。
DHTはヘアサイクルに悪影響を及ぼし、毛髪の成長期を短縮させることでAGAを進行させますが、フィナステリドの服用によりこの過程を予防し、健全な髪の成長サイクルを維持できます。
また、当院では「塗るフィナス」をご用意しており、多くの患者さまから好評をいただいています。塗るフィナスは、0.5mg配合のフィナステリドと6.5%配合されたミノキシジルを用いた製品です。それぞれが異なるメカニズムで作用するため、脱毛の進行を抑制しながら同時に発毛を促進するという相乗効果が期待できます。
フィナステリドがDHTの産生を抑えてAGAの進行を食い止め、ミノキシジルが毛包に直接作用して細胞増殖を促すことで、薄毛治療対策につながります。
フィナステリドの詳細はこちら>
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デュタステリド(ザガーロ)の効果
デュタステリドは、同じく日本で承認されている安全な治療薬です。効果はおおむねフィナステリドと同様ですが、5α-リダクターゼⅠ型を抑制するとともに、Ⅱ型も抑える働きがあります。発毛効果においては、フィナステリドより約1.6倍上回るという報告もあります。
日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」では、デュタステリド、フィナステリド、そしてミノキシジル外用薬はいずれもAランクと評価され、科学的根拠に基づいた推奨度の高い治療法として位置づけられています。
従来、デュタステリドは主に内服薬として使用されてきましたが、当院では画期的な「塗るデュタス」という外用薬をご提供しています。業界初の試みで、内服による全身への影響を抑えながら、脱毛の気になる部分に直接作用させられるのが特徴です。
塗るデュタスの詳細はこちら>
デュタステリド(ザガーロ)の詳細はこちら>
ミノキシジルに関するよくある質問
ミノキシジルに関して多くの方が悩む項目をよくある質問にまとめました。ぜひ参考にしてください。
いつ効果を実感できますか?
ミノキシジルの発毛効果は、個人の体質や薄毛の程度によって異なりますが、一般的に治療開始から実際に効果を実感できるまでには、4ヵ月から1年程度の期間が必要です。
ただし、治療初期には初期脱毛と呼ばれる一時的な脱毛が起こることがあり、副作用と誤解して治療を中断してしまう方が多いようです。しかし、初期脱毛は、毛周期の調整による症状で、治療効果のサインとされています。
重要なのは、効果が現れない時期があっても自己判断で治療を中止しないことです。最低でも1年以上続けることが必要な薬剤なので、効果や副作用に関する不安がある場合は、かかりつけ医に相談することをおすすめします。
服用を中止するとどうなりますか?
ミノキシジルの使用を中止した場合、発毛促進効果は徐々に失われ、使用開始前の脱毛状態に戻ります。さらに、一部の方に、症状が治療前よりも悪化する恐れがあるので注意が必要です。
これは、ミノキシジルによって一時的に成長サイクルが変化していた頭髪が、支えを失うことで一気に脱毛するためと考えられています。そのため、治療中止を決める前に、必ず医師と相談し、ミノキシジル以外の治療方法に関して相談しましょう。
女性でも使えますか?
ミノキシジルは、女性の薄毛(女性型脱毛症/FAGA)に対しても使用できます。ただし、日本国内で女性が使用できるミノキシジル製剤は、濃度1%のみとなっており、必ず女性用として販売されている製品を選ぶことが重要です。
また、女性の薄毛悩みは男性とは異なる特徴があるため、当院では女性型脱毛症(FAGA)に特化した治療法をご用意しています。
まとめ
ミノキシジルは、広く利用されているAGA治療薬の1つです。血行促進、毛母細胞の活性化などの効果が期待でき、外用薬では市販でも気軽に手に入ります。人によっては、ごくまれに重篤な副作用が現れるケースがあります。
湘南AGAクリニックでは問診・診察をおこない、専門医による使用可否と使用量を判断したうえで、適切な治療薬を処方しています。AGA治療は、ご自身の希望や予算にあった治療を選択することが大切です。
ミノキシジルはもちろん、AGA治療薬のご使用に関する不安や疑問がある方でも、安心できるよう徹底的にサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。
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