AGAはよく遺伝が原因といわれますが、実は頭皮環境が一因となっていることもあります。特に頭皮のべたつきやかゆみは、AGAの症状として生じている可能性もあるといいます。本記事では、AGAと頭皮のべたつきの関連性や頭皮環境の改善方法、頭皮の脂漏性皮膚炎について解説します。

AGAの原因と頭皮のべたつきには直接的な関連性がある

男性型脱毛症(AGA)の原因の1つとして、ジヒドロテストステロン(DHT)があります。このDHTはAGAの原因となるだけでなく、皮脂分泌を促す作用もあります。つまりAGAの原因と頭皮のべたつきは、いずれにもDHTが関与しており、関連性があるといえるでしょう。

DHTとは、男性ホルモンのテストステロンが変化した、薄毛の元凶となる悪玉男性ホルモンのことです。DHTは男性ホルモン受容体(アンドロゲンレセプター)と合わさることで、有害なサイトカインの1つである「TGF-β」を生み出し、髪の成長周期を乱します。通常のヘアサイクルが狂ってしまうことで髪が抜け落ち、AGAが進行する仕組みです。

AGAの原因についての詳細は下記からご覧ください。
AGAとは?原因と対策・ハゲとの違いについて

AGA以外で頭皮がべたつく原因とは

AGA以外にも、頭皮がべたつく原因は複数あります。
主に、食生活に関連するもの、頭皮への刺激に関連するもの、そして日常的な運動不足やストレスに関連するものなど、日常生活に関わる部分が多いです。
それぞれご紹介します。

脂が多いものの摂取

1つ目の原因は脂質・糖質の多い食材や食事の食べ過ぎです。
脂質を過剰に摂ると、当然のことながら体の中に蓄積される脂質も増えることになり、その関係で皮脂の分泌量が増え、頭皮のべたつきの原因となります。

なお、全身のなかでも皮脂腺が最も多いとされるのが頭皮です。つまり、脂っこいラーメンを食べ続けるなど脂質の多い偏った食生活が続くと、おのずと頭皮に皮脂が増え、べたつきにつながります。

頭皮への刺激

頭皮への刺激もべたつきの原因となります。
べたつきの主な原因である皮脂は本来、頭皮の水分を保ったり、紫外線から守ったりする役割があります。パーマやヘアカラーといった頭皮に大きな負担となる刺激を受けると、頭皮を守ろうと皮脂が大量に分泌されます。この場合の皮脂の大量分泌は、身体の正しい防衛反応が働いているといえますが、裏を返せばこれが頭皮のべたつきにつながるのです。

また、頭皮への刺激以外にも頭皮が不潔である、つまり皮脂汚れが残っている場合もべたつきの原因になります。反対に頭皮の皮脂を洗い落としすぎてしまうと頭皮が乾燥し、頭皮を守ろうとかえって大量の皮脂が分泌され、べたつきにつながります。

運動不足

運動不足が原因で頭皮がべたつくこともあります。
運動不足は血行不良を引き起こし、新陳代謝が鈍くなることがあります。新陳代謝とは、身体の細胞が古いものから新しいものに入れ替わり、不要となったものを排せつするといった仕組みのことです。

しかし、運動不足を原因とする血行不良は頭皮に十分な栄養が届きにくくなることがあり、新陳代謝にも影響が出る可能性があります。

新陳代謝が鈍くなると、ヘアサイクルが乱れ、さらに古くなった頭皮が剥がれ落ちにくくなり、そこに皮脂がたまりやすくなります。

ストレス

ストレスにより頭皮がべたつくこともあります。
ストレスで自律神経のバランスが乱れると、心身にさまざまな不調が現れ、その症状の1つに頭皮のべたつきもあります。

これは、自律神経の乱れがホルモンバランスにも影響を与え、皮脂が過剰に分泌されることが原因です。精神的な負担を感じるストレスもあれば、日々の労働で知らないうちに蓄積されていくストレスなど、さまざまな要因があるため、気付かぬうちにべたつきが起こる場合もあります。

AGAと混同されることもある脂漏性脱毛症

頭皮がべたついたまま放置をしてしまうと、脂漏性脱毛症を発症する可能性が高くなります。脂漏性脱毛症とは脂漏性皮膚炎から起こる薄毛の1つで、頭皮環境が悪化することにより、抜け毛が進行してしまう脱毛症のことです。

脂漏性皮膚炎は皮脂の分泌量が多いところであれば頭以外でも、どこにでも起こりうる病気です。脂漏性皮膚炎とAGAの因果関係はありません。しかしAGAも男性ホルモンの影響で頭皮のべたつきが生じるため、脂漏性皮膚炎と混同されがちになります。

頭皮のべたつきによる脂漏性皮膚炎とは

脂漏性皮膚炎とは、皮脂の分泌が多い頭皮や顔にできる湿疹のことです。頭皮のべたつきは、脂漏性皮膚炎を発症している可能性があります。この症状は思春期以後の男性に多発し、特に30〜40歳代の年代になると頭皮のフケが目立つようになったり、フケがこびりついて落ちにくくなったりします。頭皮の他に眉毛や、鼻の両脇、鼻唇溝部、こめかみや耳の裏側、脇の下や股・太ももの付け根に症状が多く出ます。

脂漏性皮膚炎の代表的な症状として、赤い斑点がでたり、油っぽい細かい皮がこびりついたりしてくることもあります。痛みはなくかゆみもあまりありませんが、あっても軽い程度です。

脂漏性皮膚炎の原因

脂漏性皮膚炎の原因はまだ明確にはわかっていません。遺伝的要因、環境的要因、精神的ストレスなどが関与した多因子疾患と考えられています。

しかし近年では、皮膚に常在しているマラセチアというカビ(真菌)の一種が発症に関与していることが認識されています。皮脂を栄養源とするマラセチアが皮膚で増殖したり、皮脂中の成分を分解することによって発生した物質が刺激となって皮膚炎を引き起こす原因になっていると考えられています。

AGAと脂漏性脱毛症の違い

AGAの主な原因は、男性ホルモンや遺伝的要因が多くを占めます。AGAの場合、頭皮環境を改めただけでは根本的な改善は難しいでしょう。

一方で脂漏性脱毛症の原因は、男性ホルモンが一定関与しているものの、生活習慣が主な原因といえます。脂漏性脱毛症は、皮膚炎を発症しただけで薄毛になることはありません。かゆみや炎症で頭皮を掻いて傷つけてしまうことで、薄毛や抜け毛につながります。

しかし、頭皮環境を改善することで抜けた髪は再び生え、薄毛が進行することもないのが特徴です。このようにAGAと脂漏性脱毛症のメカニズムは異なり、治療法も異なります。
 

頭皮環境の改善方法

AGAと脂漏性脱毛症は異なるものですが、いずれも頭皮環境の改善が薄毛予防につながるといえます。頭皮環境を改善するためには、次の方法があります。

内服薬の服用

AGA治療薬であるプロペシアは、頭皮のべたつきを抑制する効果が期待できます。プロペシアには、有効成分であるフィナステリドが含有されています。フィナステリドとは、AGAに効果があるとして厚労省にも認可された有効成分のことです。
フィナステリドには、皮脂の分泌を促すジヒドロテストステロンの産生を抑制する働きがあります。ジヒドロテストステロンの産生を抑制することで皮脂の分泌量を抑制し、結果として頭皮のべたつきを抑えられます。

なお脂漏性脱毛症の治療として、フィナステリドを処方することはありません。あくまで皮脂分泌を抑える効果が期待できるAGA治療薬です。

プロペシア(フィナステリド)の効果や副作用について>

外用薬の塗布

薄毛治療の外用薬を利用することで、頭皮環境を改善できる場合もあります。薄毛治療の外用薬として有名なのがミノキシジルです。ミノキシジルは頭皮の血行を促進し、髪の成長の土台となる頭皮環境を改善します。スプレー式の直接頭皮に塗布するタイプが主流で、市販で気軽に手に入ります。AGAによる薄毛の場合は、フィナステリドとミノキシジルを併用することで、さらに薄毛改善の効果を高められます。

ミノキシジルとプロペシアの併用や副作用について>

生活習慣の改善

頭皮環境は、生活習慣からも影響を受けます。脂っこい食事を摂りすぎると、頭皮のべたつきにつながります。髪の栄養となるタンパク質やミネラルは積極的に摂取するように心がけましょう。

また睡眠不足・運動不足なども血流の滞りや自律神経の乱れの原因となり、頭皮環境を悪化させる一因となる場合があります。1日7時間以上の睡眠や、1時間半以上の運動などを心がけてみてください。

バランスのよい食事、十分な睡眠、適度な運動を身に着けることが、頭皮環境を良好に保つことにつながるでしょう。

アミノ酸系シャンプーの使用

シャンプーで汚れをしっかり落とすことは大前提ですが、洗い過ぎは逆効果を招きます。皮脂は頭皮を守るのが本来の役割であり、皮脂を落としすぎてもフケやかゆみの原因になります。一般的なシャンプーは洗浄力が強いことで必要な皮脂も洗い流してしまい、かえって頭皮環境を悪化させる可能性があるのです。

頭皮に優しいシャンプーなら、アミノ酸系シャンプーがおすすめです。アミノ酸系シャンプーは、適度な潤いはそのままに、ダメージ補修の効果があるといいます。頭皮環境改善や薄毛予防のためにも、普段使うシャンプー選びにもこだわってみるとよいでしょう。

頭皮マッサージ

頭皮マッサージは頭皮の血行を改善し、固くなった頭皮を柔らかくする効果があります。爪は立てず、指の腹を使って頭皮全体を揉みほぐします。入浴時など、リラックスしている状態でおこなうのが効果的です。毛穴につまった皮脂汚れを押し出し、頭皮を清潔に保てます。

セルフケアの注意点

頭皮がべたつくからといって頻繁に髪を洗ったり、ゴシゴシと強い力で洗ったりするのは控えましょう。必要以上に髪を洗ったり、強い洗浄成分が入ったシャンプーを使用すると、必要な皮脂まで洗浄されてしまい、頭皮が乾燥してしまうからです。

頭皮が乾燥すると、今度は乾燥を防ぐために皮脂をたくさん分泌しようとする過剰分泌が起こってしまい逆効果となってしまいます。頭皮を守るためには適度な量の皮脂が必要です。その他頭皮の乾燥は、かゆみ(掻痒感)を誘発することもあります。シャンプーなどから頭皮への刺激がかゆみにより増加し、結果的に頭皮のべたつきを促進してしまうこともあります。
また、マッサージも同様に強くマッサージすると、かえって頭皮にダメージが及ぶ恐れがあります。気持ちよいと感じる力加減で、リラックスしておこないましょう。

シャンプー選びや頭皮マッサージの詳細は、下記の記事で解説しています。
AGAはシャンプーで進行を予防できるの?シャンプー選びのポイントと正しい洗髪方法

頭皮のべたつきからAGAが不安な方へ

頭皮のべたつきや薄毛・抜け毛に悩んでいる方は、もしかしたらAGAを発症しているかもしれません。適切な治療を受けるためにも、まず原因を特定することが大切です。

セルフチェックをしてみよう

AGAは進行型があるため、何もせず放置をしていると髪の数はだんだんと減っていき、抜け毛・薄毛が徐々に目立ってきます。
抜け毛・薄毛の原因はさまざまなものがあり、もちろんその原因によって対処法や治療法も変わってきます。そのため、まずはAGAであるかどうかの診断が必要です。
まずは現状把握として、ご自身で手軽に受けられるセルフ診断もありますので、チェックしてみるのもおすすめです。

無料診察 AGA診断でセルフチェックをしてみる

専門クリニックのカウンセリングがおすすめ

頭皮の状況に少しでも不安のある方は、専門クリニックのカウンセリングを受けることをおすすめします。AGA専門クリニックの医師は、AGAの治療実績や専門知識を持っているため、的確なアドバイスが得られるでしょう。一人ひとりの頭皮や薄毛の状態に応じた適切な治療を受けられるため、短期的な発毛・育毛効果が期待できます。

湘南AGAクリニックでは初診からオンラインでの診療が受けられます。時間がなく通院が難しいという方も、ご自宅で手軽に相談できるため、まずは無料カウンセリングを検討してみてはいかがでしょうか。

AGA(薄毛)初診オンライン治療

まとめ

AGAと頭皮のべたつきは関連性があり、いずれも男性ホルモン(DHT)が関与しています。頭皮のべたつきの原因は、DHTだけでなく生活習慣も関係しています。頭皮のべたつきを放置していると脂漏性皮膚炎を発症し、脱毛症を引き起こすこともあるため注意が必要です。

頭皮のべたつきはAGAの初期症状の1つで、抜け毛・薄毛になるという点で、AGAと脂漏性脱毛症は混同される場合があります。しかし、メカニズムや特徴が異なり、直接的な関係はありません。

AGAは放置をしていると症状がどんどん進行してしまいます。頭皮のべたつきをはじめ、薄毛にお悩みの方は、AGA専門クリニックでまずは相談してみましょう。

薄毛でお悩みの方へ湘南AGAクリニックのAGA治療・薄毛治療

監修医情報

斎藤医師

湘南AGAクリニック
新宿本院院長 斎藤医師

経歴

  • 1994年三重大学医学部卒業
    同付属病院脳神経外科入局
  • 2001年大手美容外科勤務、院長職
  • 2009年湘南美容外科クリニック勤務
  • 2016年湘南AGAクリニック大阪院勤務
  • 2023年湘南AGAクリニック新宿本院勤務

運営者情報

運営クリニック 湘南AGAクリニック 新宿本院
住所 〒160-0023
東京都新宿区西新宿6丁目3番1号 新宿アイランドウイング7階
お問い合わせ 0120-548-911
院長 斎藤 浩一医師