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【医師監修】自毛植毛を検討する際に知っておくべき5つの重要ポイント

2025年7月26日

自毛植毛

今回は【自毛植毛】をする上で特に知っておくべき5つの重要ポイントについてまとめました。手術後のトラブルから特定の脱毛症への適用、さらには治療計画の立て方まで、多岐にわたる情報をお伝えします。
ぜひ自毛植毛をお考えの方は今回お伝えするポイントを頭に入れご検討していただければと思います。

point1. 術後毛包炎について

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※画像は重度の状態になります

自毛植毛手術後、約1ヶ月目から3ヶ月目にかけて最も多く見られる皮膚トラブルとして「術後毛包炎(じゅつごもうほうえん)」が挙げられます。これは、小さく膨らんだニキビのような赤い吹き出物として現れることがあります。

• 多くの術後毛包炎は、自然に治癒するケースがほとんどです。小さく赤みを帯びた吹き出物が数個できる程度であれば、特別な治療をせずに経過観察となることが一般的です。しかし、症状には個人差があり、以下のような経過をたどることもあります。
→軽度の場合: 数日〜数週間で自然に消滅し、痕を残さないことが多いです。
→中度の場合: 吹き出物の数が多かったり、やや大きくなったりすることがあります。この場合でも、多くは時間の経過とともに改善しますが、症状が続く場合は市販薬やクリニックでの処方薬が必要となることがあります。
→重度の場合: 稀に、数ヶ月から半年、あるいは1年以上症状が続くケースや、吹き出物が化膿して痛みや発熱を伴うケースもあります。このような場合は、炎症が周囲に広がる可能性もあるため、早期の専門医による診察が不可欠です。

• 状況がひどい場合は塗り薬が処方されることもあります。

• 吹き出物が出ることは想定内のことではありますが、「この吹き出物は大丈夫だろうか?」と心配になったら、ためらわずに植毛手術を受けたクリニックの医師に相談してください。ご自身で判断し、誤った処置をしてしまうと、症状が悪化したり、回復が遅れたりする可能性があります。診察に訪れて相談することが最も推奨される対処法です。

point2. 円形脱毛症の植毛について

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円形脱毛症は、突然、頭皮の一部分の毛が抜け落ちる自己免疫疾患であり、その症状は患者さんにとって大きな精神的負担となることがあります。多くの場合、自然治癒や皮膚科での治療によって改善が見られますが、中には長期にわたり症状が続く方もいらっしゃいます。そのような場合、「植毛」という選択肢が頭をよぎるかもしれません。しかし、円形脱毛症に植毛を考える際には、一般的な薄毛治療とは異なるいくつかの重要な留意点があります。

• 円形脱毛症を発症して間もない時期であれば、まずは専門の皮膚科を受診し、保険診療での治療を優先することが勧められています。
円形脱毛症は、ステロイドの外用薬や内服薬、局所免疫療法など、さまざまな治療法が存在し、これらは保険適用となることがほとんどです。多くのケースでは、これらの治療によって発毛が見られ、植毛の必要がなくなることも少なくありません。焦らず、まずは医学的なアプローチを試みることが賢明です。

• 3年以上経過しても毛が生えてくる気配がない場合、植毛手術も選択肢となりえます。

• 最も重要な注意点として理解しておくべきなのは、円形脱毛症が「自己免疫性疾患」であるという点です。
これは、本来自分の体を守るはずの免疫細胞が、誤って毛根を攻撃してしまうことによって脱毛が起こる病気です。
この自己免疫反応が活発な状態の場合、たとえ健康な毛包を移植したとしても、移植された毛が抜けている部分の「毛を受け付けない体質」になって いる可能性もゼロではありません。つまり、せっかく植えた毛が、再び自己免疫の攻撃対象となり、全く生着しない、あるいは生着しても再び抜けてしまうリスクがあることを十分に理解しておく必要があります。このリスクは、一般的なAGA(男性型脱毛症)による薄毛への植毛にはない、円形脱毛症特有のものです。

• このリスクが心配な場合は、まず少なめのグラフト数を植えて定着状況を確認し、その後に全体的な植毛を行うという方法も選択できます。最終的な判断は医師によって異なるため、詳細な診察が重要です。

point3. 眉下リフトの傷跡への植毛について

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眉下リフトの傷跡植毛とは、後頭部などから採取したご自身の毛髪(グラフト)を、眉下リフトによって生じた線状の傷跡部分に移植する手術です。移植された毛髪が定着し、成長することで、傷跡を目立たなくし、眉毛の密度を高める効果が期待できます。眉下リフト後の線状の傷跡に悩む方も多く、その傷跡への植毛も可能です。

• 傷跡への植毛は、通常の皮膚に比べて定着率が低いという特徴があります。
傷跡への植毛は、健康な皮膚に行う通常の植毛とは異なる特性を持ちます。**通常の皮膚に比べて、傷跡部分は血流が乏しく、組織が硬くなっているため、移植毛の定着率が低くなる傾向があります。**これは、毛包が新しい環境で栄養を受け取り、成長するための条件が、健康な皮膚と比べて不利になるためです。したがって、傷跡植毛を検討する際には、通常の植毛よりも定着率が低くなる可能性を理解し、期待値を適切に設定することが重要です。

• 手術の可否は傷跡の場所によって異なります。眉毛を抑えた時に硬い骨がすぐに当たる「眼窩縁(がんかえん)」の直上であれば手術が可能です。
眉毛のすぐ下、具体的には眉毛を指で軽く押さえたときに、その下に硬い骨がすぐに当たる部分(眼窩縁)の直上に傷跡がある場合は、植毛手術が可能です。この部位は骨が近くにあるため、移植の際に深さの調整がしやすく、眼球やその周囲の重要な組織を傷つけるリスクが低減されます。骨が移植を安定させ、安全な手術を可能にする基盤となります。

• 一方で、目の下のくぼみのように骨がない部分(軟組織のみの領域)に傷跡がある場合、植毛手術は非常に困難であり、不適切と判断されることがほとんどです。この部位に植毛を行うと、移植の際にメスやパンチブレードが深く入り込みすぎてしまい、**眼球を傷つけたり、視神経や血管などの重要な組織を損傷したりするリスクが非常に高まります。

point4. 薬の経過を見てから植毛手術をしたケース

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自毛植毛手術を行う場合でも、薬剤の内服治療は必須となることが多いです。
• まず薬による治療を行い、脱毛範囲が狭まることで、植毛に必要なグラフト数が減り、結果的に費用負担も低くなるため、このアプローチが推奨される場合があります。
この方法は、効率的かつ経済的に、最大限の効果を得るための戦略と言えるでしょう。
これはまるで、家をリフォームする際に、まず既存の構造を補強し、清掃や軽微な修理で改善できる部分はないかを確認するようなものです。そうすることで、本当に建て増しや大規模な改築(植毛)が必要な範囲を限定し、無駄なく最適なリフォーム計画(植毛計画)を立てることができるのです。

point5. 薬の経過を見ずに植毛手術をしたケース

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一方で、薬の経過を見ずに早期に植毛手術を行うパターンもあります。
• これは、希望する改善部位が非常に狭い範囲であれば、薬の治療を待たずに手術に踏み切っても問題ないと判断される場合です。
• また、ある程度薬で治療しても改善範囲が低い場合や、手術するグラフト数があまり変わらないと予想される場合も、早めに手術を行うことが間違いではないとされています。
• ただし、このような判断は、自毛植毛手術の経験が豊富で、かつ薬の経過もしっかりと見ている医師でなければ難しい場合があります。そのため、セカンドオピニオンとして複数の医師の意見を聞くことも勧められています。

まとめ(Youtube動画)

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これらのポイントは、自毛植毛を検討する上で非常に実用的な情報です。植毛は、単に毛を植え付けるだけでなく、患者さんの健康状態、特定の脱毛症の種類、既存の皮膚の状態、さらには将来的な治療計画まで、複合的に考慮されるべき「長期的な髪の再生プロジェクト」と言えるでしょう。各段階で専門医との密なコミュニケーションが、成功への鍵となります。

今回お伝えした内容は「湘南AGAクリニック広島 徳永医師」のYouTubeで解説しております。
ぜひ自毛植毛でお悩みの方・ご検討されている方は参考にしてみて下さい。